お盆の挨拶
2012年8月11日
先日の七日、立秋の日より暑い日々の中、今年もお盆の期間が始まりました。
一般的にお盆と申しますと、日本では仏教伝来以前から旧暦の7月にご先祖の霊魂が家族のもとへ帰って来るという考え方があり「御魂祭(みたままつり)」という風習が起源です。
それが、紀元6世紀半ばに仏教が日本に伝来するとともに『盂欄盆経(うらぼんぎょう)』というお経に基づいた盂欄盆会(うらぼんえ)からお盆という言葉が出来上がったとされています。
毎年、7日の立秋にて盆入りをし、13日にお墓参りをし、夕方に庭先や門口で迎え火をたき御先祖の魂を迎え入れます。
14日・15日は、御魂が家に留まっている期間ですので仏壇にお供え物をして迎え入れた御魂の供養を致します。
そして、16日に御魂は再びあの世へ帰っていきます。お墓参りをして、夕方、迎え火と同じところに今度は「送り火」を焚き、再び帰り道を照らして御魂を送り出します。
亡くなった人を出して初めてのお盆を新盆といい、新盆の御家庭については、法海寺では、毎年10日にお寺、お墓へと御迎え、16日まで盆棚のある自宅で御魂のお参りをして頂き、16日は、御魂を送る日となります。
16日朝8時より精霊送り回向法要を法海寺境内で、厳修(ごんしゅう)しております。通常のお盆、新盆いずれの御家庭でも供物・提灯・一切の送り物を市役所の都合もあり8時までにお持ちいただいております。
さて、なすやきゅうりで作った牛や馬を盆棚の上にそなえるのは、御先祖の御魂が「きゅうりの馬」に乗って早く来てくれるように、名残惜しいので「なすの牛」に乗ってゆっくり帰るようにとの願いを込めたものです。
お盆には、御先祖や亡くなった人たちの御魂が灯かりを頼りに帰ってきます。
普段せわしい暮らしの中で御先祖のことを「想う」ということが少なくなってしまった方もいらっしゃるかと思います。
せめてこのお盆をよき機会とし、亡き人を里帰りして来た家族ようにもてなしましょう。
御先祖のことを思い出すというだけにとどまらず、厳しく重たい人生を生きた御先祖の声にならない声、言葉にならない願いに耳を傾けることで私達は本当に自分の人生を慈しむことができ、今この世に生きていることに感謝できます。
それを通して初めて本当に御先祖に感謝することができるのではないでしょうか。
毎年毎年同じお盆はやってまいりません。
今年のお盆は去年のお盆とも一昨年のお盆とも違います。
よきお盆をお迎えください。