お彼岸
2012年3月18日
先日の3月17日土曜日よりお彼岸(ひがん)の期間が始まりました。お彼岸の期間とは、昼と夜の時間が同じになる、春分の日と秋分の日を「中日(ちゅうにち)」として、その前後3日間を合わせた7日間のことを言います。
お彼岸の「彼岸(ひがん)」とは、川をへだてた向こう岸(彼(か)の岸(きし))のことを意味しますが、この向こう岸を仏の世界とみたて、いま私たちがいるこちらの岸(此岸)迷いの世界から川を渡り、向こう岸である仏の世界、迷いのない安らかなる世界へ到るという意味が込められています。そして、その世界で過ごしているような生活ができるよう努力する期間が、この彼岸の一週間なのです。
また、彼岸とは、到彼岸(とうひがん)の略名と言われています。これは、こちらの岸(此岸)から向こう岸(彼(か)の岸(きし))へ到るという意味があります。
そして、この時、向こう岸へ川を渡る「船」に例えられるのが仏さまの教えです。こちらの岸では、日々の生活の中で、迷い、悩み、苦しんでいる私たちが、6つの知恵(六波羅蜜(ろっぱらみつ)を実践することによって、仏さまの教えに導かれ、仏さまの教えに即した生活を送ることで、一時の間でも彼の岸、迷いのない、悟りの向こう岸に渡ることができるのです。
この六波羅蜜とは、本来、菩薩が行う六種の徳目のことでしてこの六波羅蜜を修めることで菩薩は人々を利益し涅槃の彼岸に到るのです。
その六種の知恵とは
一、布 施ふせ(与えて施すこと)
二、持 戒じかい(戒律を守ること)
三、忍 辱にんにく(耐え忍ぶこと)
四、精 進しょうじん(正しい努力すること)
五、禅 定ぜんじょう(乱れる心を客観的に眺め、落ち着くこと)
六、智 慧 ちえ(これら5つの智に通じすべてを成就する) です。
お彼岸には、お墓に手を合わせて、ご先祖さまを供養します。それは彼の岸にいるご先祖さまに、生命を頂いたことへの感謝の気持ちを捧げるためです。
また彼岸には、このような言葉もございます。
『今日彼岸 菩提の種を 蒔く日かな』
菩提とは、菩薩の心です。お彼岸にあたって、仏様の教えに耳を傾け、どのような生き方をしたらいいのか、そのように感じる機会だと思います。
そして、自分の中の感謝の心を見つめ、お寺のご本尊に合掌し、お墓やお位牌に合掌し、菩提の種を蒔いてください。
それとともに、静かに自分の心、日々の生活を振り返ってみて下さい。私たちは、ご先祖さまを供養するこの機会に、彼の岸という悟りの世界を感じることができました。悟りの世界とは、即ち「安らかな心」を得ることです。
私たちは、一人ひとりが、生きる喜びの中で「安らかな心」を育み、そして時々心の中の菩提の種に水を撒いて、きれいな菩提の花を咲かせましょう。